レイ・シーザー Ray Caesar の作品が恐ろしく感じられる。その作品群はデジタル絵画とされているようであるが、私には写真にかなり近く見えるのである。それは作品自体についてではなく制作過程、手法にみてとれるのである。デジタルカメラで撮影された皮膚の集積がその作品の皮膚となり、デジタルカメラで撮影された布がその作品の服となっているその手法、作品の原画がパソコンのハードディスクにあるという事象、それらはデジタル写真による写真作品の制作過程と極めて類似していないだろうか。レイ・シーザーの作品は私にハンス・ベルメール Hans Bellmer の写真作品を思い起こさせたが、ハンス・ベルメールの作品はアナログ的であるのに対して、レイ・シーザーの作品群は当然のことではあるが極めてデジタル的で、デジタルなのである。