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照井康文 Yasufumi Terui / Japan

1986 神田・真木画廊 Gallery Maki 個展「行為」
 系もしくは景ここに照井 康文 の写真が有る。
 それは、近い位相の物たちが、それぞれ一つの「系」として収束されている。
 通常、写真は一枚一枚それぞれに“特種”であるといえる。
 “一般的な写真”というのは原理的に存在しないと思っている。
 それは、それらの写真が“撮影された”という過去形だけで、すでに一枚としての主張を始めるからである。
 照井の営為は、近似に拠って全体性を、差異に拠って個別性を主張する複数の写真を一つの「景」として提示し、それらの写真の、写真という「物」としての存在理由を問うていく作業であるのだろう。
 写真は真実を写すのか?
 そんな不遜なことは言えないと語りつつ、作者は、目の前の写真がひとつの事実となり得ることを知っている。初めから思想を籠めてシャッターを押すのではなく、ランダムなモノクロ・プリントの集積の中から、ひとつの思想体系を作り上げようとしているのである。 「いけ花龍生86年10月号」・荒木扶佐子